所属会員
第68代理事長
【スローガン】
トランス フォーム
変 革
〜⻘年としての英知と勇気と情熱をもって〜
【はじめに】
SDGsでは、変化のことをトランスフォーム(Transforming ourworld)と表現しています。
では、トランスフォームとは一体どんな意味なのでしょうか。同じような意味を表すチェンジは、
「色や形が変わるレベルでの変化」という意味です。
これに対して、トランスフォームは「原型をとどめないレベルでの変容」を表します。
例えば、さなぎが蝶に変わるような全く違う存在になることです。
私たち⻘年会議所もそんな変容を遂げなければならないのです。
これは、私たちがおかれている社会環境は、私たちが考えているよりも速いスピードで変化しており、
この先は「今までのレベルより遥かに早いスピードで時代は変わっていく」ことが容易に予想されるからです。
社会の先駆者である私たち⻘年会議所は、その社会環境の変化より更に早いスピードで変容しなければならないのです。
2022年度は、そんな変容を遂げるため、6つの考え方と6つの具体的事業をもとにJC運動に邁進して参ります。
【6つの考え方】
(1) 発想の変革(トランスフォーム)
「こころのふるさと飛騨高山」
私たちが普段何気なく耳にする観光都市高山の標語です。この言葉は、昭和30
年代頃から使われ始めました。今では観光都市として当たり前の高山も、この標語
ができる以前は林業・鉱業が盛んな都市であったものの、「陸の孤島」と言われ、
「山国」の代名詞とされ、観光地とは程遠い状況でした。
私たちの祖父母の世代は、その事実を逆手に取り、「山国」=「こころのふるさ
と」という発想の変革(トランスフォーム)をすることにより、今日の観光都市高
山の礎を築いたのです。かつて「陸の孤島」といわれた高山は、今では、年間約
400万人が訪れる国際観光都市へと発展しています。
与えられた事実は、1つしかありません。その事実を肯定的にとらえるか否定的
にとらえるかで私たちの行動は変わります。今ある常識を変革(トランスフォー
ム)し、私たち⻘年会議所が新常識をつくり行動していきましょう。
(2) 世の中はひとつに繋がっている
2019年11月第一例会において、私たちは、世間に先駆けてSDGsの考え
方を学びました。SDGsの考え方を学ぶカードゲームでは、環境のパラメーター
のみを上げようとすれば、資金不足に陥り、児童酷使のカードを使わざるを得ない
状況に追い込まれ、経済のパラメーターのみを上げようとすれば、環境が悪化し、
社会が成り立たなくなることを実感しました。カードゲームからは、経済・環境・
社会のつながりという全体像を学ぶことができたのです。SDGsは、身近なとこ
ろから誰でも手軽に始められます。このため、現在のSDGsは、個別の課題が
フォーカスされがちですが、SDGsの本来の目的は、各々が手軽に始めた行動に
より、17のゴールを同時に解決するということだと思います。
個別の課題に取り組みながらも最終的に全ての課題を同時に解決しようという考
え方は、私たちも実践したい考え方です。高山を変えるためには、1つのことに焦
点をあてるのではなく、全体像を見なれければならないのです。世の中はひとつに
つながっていることを踏まえ行動していきましょう。
(3) 高山の先駆者として
私は、高山を離れた後、大学に進学し、旧財閥系企業に就職することができまし
た。大学では、これから立法しようとしている社会の仕組みに触れ、会社では、そ
れを最先端で実践している現場に身を置くことができました。
それは、クールビス(環境問題)に始まり、ITシステム、情報漏洩の防止、個
人情報保護、働き方改革など枚挙にいとまがありません。今思えば、会社にいるだ
けで最先端の社会・経済の情報を掴めていたのです。しかしながら、高山にUター
ンし、個人事業主として事務所を開業してからは、社会・経済の動向は、待ってい
ては掴むことができないものとなりました。
そのような状況の中、社会・経済の新たな動向をいち早く伝えてくれるのがこの
⻘年会議所のネットワークでした。SDGsがその最たる例です。今やメディア
で、SDGsが取り上げられない日はないですが、私が、初めてSDGsという言
葉に触れたのは、2018年1月の京都会議です。高山⻘年会議所でも、メディア
で取り入れられる以前からバッヂをつけ、その内容を学んでいたのです。
話は変わりますが、2021年、新型コロナウイルス感染症のワクチン職域接種
を行った際に、高山⻘年会議所の会員会社の従業員及びその家族(18歳〜65
歳)は、約1,000人いることが分かりました。高山⻘年会議所は、1,000
人の高山市⺠に直接情報を伝えることができる情報網を持っているのです。年齢制限を外し、
OBやセネター会員、関連企業を含めれば、その数は、飛躍的に多くなります。
私たち、高山⻘年会議所は、日本⻘年会議所及び各地会員会議所というネット
ワークと異業種団体というネットワークで最先端の情報を得ることができます。こ
の情報網で得た最先端の情報を会社という伝達手段を利用し、的確に高山市⺠に発
信していけば、高山の社会システムを変革することができるはずです。むしろ、情
報網と伝達手段を持っている私たち⻘年会議所は、高山の先駆者として、この高山
を変革していかなければならいのです。
高山の先駆者となる気概をもって行動していきましょう。
(4) エンパワメント(潜在能力を引き出す)
「JCしかない時代からJCもある時代へ」と変わり、多くの団体がそれぞれ特
色のある運動を展開しています。その中で、⻘年会議所は、他団体がまだ実施して
いない事業を展開しようとする傾向にあります。私たちが実施したという〝主催〟
にこだわっているのです。しかしながら、私たち高山⻘年会議所の目的は「明るい
豊かな地域社会」の実現であり、高山のためになるならば、体裁にこだわる必要な
ないと思います。
広義のエンパワメント(湧活)とは、「人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人
が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させること」と定義されていま
す。大切なのは、高山市⺠や高山にある多くのまちづくり団体がその能力を十分に
発揮し、よりよい高山をつくり上げることだと思います。高山のためになる事業で
あれば、他団体と協力し、他団体の能力を引き出し、ともに事業を展開できるよう
行動していきましょう。
また、新入会員を含む会員、高山市⺠、他団体、その他、他者に影響力をあた
え、潜在能力を引き出す活動をしていきましょう。
(5) 今のこどもが未来のおとな
全国⻘年司法書士協議会では法律教室を展開中であり、そのキャッチフレーズに
「今のコドモはみらいのオトナ」を掲げています。これは、貧困問題を断ち切るに
は、貧困に陥ってしまった親世代を支援するのではなく、子世代に正しい知識を身
に着けさせることにより、貧困の連鎖を断ち切ろうというプロジェクトです。
現状を変えるために、今の大人に働きかけるのではなく、子どもに働きかける考
え方は、全ての事柄に応用できると考えます。例えば、この高山の〝ブランド力〟
は誰が高めてくれるのでしょうか。行政や外部の旅行会社、広告会社に高山のブラ
ンド力向上を任せてよいのでしょうか。それは、それでよいのかもしれませんが、
大切なことは私たち自身、高山市⺠が、高山のブランド力を高めていく必要があり
ます。そして、もっともブランド力の向上に貢献してくれるのは、全国に散ってい
る高山出身者だと私は考えます。高山では、高校卒業後多くの若者が、就職または
進学のため、高山を離れると言われています。〝よそ(高山以外の地域)〟で専門
的な勉強、経験をして、専門的な知識で高山を支える担い手が増えることを考える
と、若者の都市部への流出は悪いことばかりではありません。この都市部へ流出す
る若者たちは、高山のブランド力向上の最大の応援団です。高山にいる子どもたち
に高山の素晴らしさを伝えることができれば、大人になった10年後にきっと高山
のブランド力向上に寄与してくれるでしょう。
また、今の子どもたちが大人になり、または、高山にUターンした10年後は、
高山⻘年会議所の入会候補者です。今の子どもたちに高山⻘年会議所の存在感を示
しましょう。
今の子どもたちに高山の素晴らしさ、高山⻘年会議所の素晴らしさを伝えること
ができれば、10年後の高山、そして高山⻘年会議所の未来は明るいのです。「今
のこどもが未来のおとな」を意識し、行動していきましょう。
(6) 今、最も必要とされる事業の実施
2016年8月26日、アニメーション映画『君の名は。』が公開され、歴史的
ヒットを記録しました。この時、飛驒市は、同年11月6日に同作の上映会を実施
しました。しなしながら、高山市では実施されなかったため映画館がない高山市⺠
は、飛騨地域が題材の映画であるにもかかわらず、飛騨地域以外の映画館へ行かな
ければならなかったのです。この上映会は、2015年に計画することはできず、
2017年に実施してもその価値は、半減します。飛驒市のように同作の公開後
2ヶ月後というブーム真っただ中のタイミングで実施するということに意味がある
のです。つまり、社会環境の変化のスピードが早いため、計画決定した事業計画
が、実施段階において、時代のニーズに合っていないことがあるのです。
2022年度は、事業計画を大切にしながらも、一定のところでは、事業計画に
固執することなく、事業計画の補正・修正を恐れず、臨機応変に行動していきま
しょう。
【6つの具体的事業】
2022年度は、上記6つの考え方を踏まえ、下記6つの事業を展開していきます。
(1) 未来を先取りする事業の実施
私が大学進学した2002年、日本の最先端は東京にあり、夢を実現するに
は、地方ではできないという風潮がありました。これは、現在でもそうかもしれま
せん。しかしながら、コロナ禍において、本社機能を地方へ移転する企業が増えて
いるように、東京でできることは地方でもできる時代へと変化しています。つま
り、東京でできることは、高山でもできるはずなのです。
2022年度は、地方である高山で未来を先取するような革新的な事業を実施し
ます。
(2) 市⺠が政治に興味をもつ事業の実施
日本の有権者層は「人口が多く投票率が高い団塊世代」と「人口が少なく投票率
が低い若年層」に分けることができます。これを投票を受ける政治家(立候補者)
からの視点で考えると「特定世代に向けた政策」を立案する場合、若年層4人と団
塊世代1人は同じ重さとの計算になるそうです。特にこの高山においては、進学先
が少ないため、18歳から20代前半の人口は、日本の全国平均より極端に少ない
現状があります。このような状況下においては、若年層の意見を反映した政策立案
は、少なくならざるを得ません。若年層が声をあげれば、政治家(立候補者)も、
より若年層の意見を反映した政策立案を行うようになるのではないでしょうか。
2022年度は、市⺠、とりわけ若年層の意見を政治に反映させるような事業を
実施します。
(3) 会員のための事業の実施
高山⻘年会議所では、公益法人格取得以来、公益事業への支出が増え、会員のた
めの共益事業への支出が少なくなっていた経緯があります。高山⻘年会議所が主体
となり、直接、魅力ある⻘年経済人を育てる事業を実施する機会が少なくなってい
たのです。地域の発展は、魅力ある⻘年経済人なくしてなし得ません。
2022年度は、会員のための事業を実施します。
(4) 新入会員の育成の実施
⻘年会議所1年目にJAYCEEとしての基礎をしっかり学ぶことができなけれ
ば、修練・奉仕・友情の三信条を体感することや⻘年会議所らしい特別感ある事業
は実施できません。
2022年度は、新入会員がまずは「当たり前のことが当たり前にできる人」に
なることを目指し、延いては高山の⻘年経済人として高山を牽引できるJAYCE
Eになるための事業を実施します。
(5) 会員拡大活動の実施
単年度制の⻘年会議所にとって、唯一継続しなければならない事業が会員拡大事
業です。それは、会員拡大をし続けない限り、やがては高山⻘年会議所は消滅して
しまうからです。明るい豊かな地域社会の実現のため、様々な事業を実施していま
すが、高山⻘年会議所が消滅してしまっては事業を行えないことは自明の理です。
2022年度は、例年の会員拡大活動はもちろん、これまでアプローチしたとこ
のない新入候補者に対しても会員拡大活動を実施します。
(6) 組織の変革(トランスフォーム)
単年度制である⻘年会議所では、組織運営にかかわるメンバーも1年交代となる
ため、組織運営が前年踏襲となる傾向があります。
2022年度は、前年踏襲にとらわれることなく、失敗を恐れず、会議の日数、
縦割り・横割りの組織編成や予算配分など新たな組織運営を実施します。
【おわりに】
新型コロナウイルス感染症は、私たちの世界をある意味強制的に変革(トランスフォーム)させました。
マスクの着用が当たり前になり、三密を避ける行動が基本になり、私たちの日常生活には大きな変化がありました。
今まで必要だと言われて進めようとしてもなかなか進まなかったことが数か月の間に激変し、さらに変わり続けています。
私は、2018年、専務理事予定者としてハイブリッドオンライン会議を実施しようと試みました。
しかしながら、否定的な意見に加え、設備の不具合とシステムの勉強不足が重なり、実施には至りませんでした。
ところが、コロナ禍における2020年5月第一例会は、法人格検討会議の議⻑として、たった数か月の間に
オンライン例会を実現させることに成功しました。今では、オンライン例会が例会実施方法の主流となっています。
変革(トランスフォーム)してみると自分たちがどれほど既存の枠に囚われていたかということを気づくことになります。
さなぎが蝶に変わることを知らなければ、蝶になる発想は思いもよりません。
しかし、一度、蝶になることを知れば、それは当たり前になり、無限の可能性へとつながるのです。
⻘年としての英知と勇気と情熱をもって、「明るい豊かな地域社会」の実現のため、既存の枠を破り、変革(トランスフォーム)しましょう。