2024.12.10 Tuesday

一般社団法人高山青年会議所

第69代理事長 野澤 竜弥

第69代 理事長

野澤 竜弥

一般社団法人高山青年会議所
2024年度 スローガン

理事長所信

【はじめに】

 青年会議所運動は、荒廃した戦後の時代の中「新日本の再建は我々青年の仕事である」という言葉に共感した若者たちが集い、1949年に始まった運動です。以来、70年以上にわたり「修練・奉仕・友情」の三信条のもと、「明るい豊かな社会」の実現に向け様々な運動を起こしてまいりました。我々の目指す「明るい豊かな社会」は目まぐるしい時代の変化に合わせ、その理想像が変化していきますが、その根源にあるのは、我々が住み暮らすまちをより良くしようという想いにほかなりません。急激に社会情勢が変化している今だからこそ、我々青年世代が地域の課題を的確に捉え、多くの方々を巻き込みながら運動を後世へと引き継いでいくことが使命であると考えます。
 「自覚と覚悟を持て」。これは私が高山青年会議所に入会してから先輩によく言われた言葉です。これといって地域に対する責任感や想いもなく、言われるがままに入会し、ただただJC生活を過ごすだけだった私を先輩はこの言葉で叱ってくれました。我々こそが地域をよりよく変えていく青年経済人だという責任を伴う自覚を持つこと。そしてやると決めたなら、多くの時間や労力が必要だとしても、使命を全うし「明るい豊かな高山」の実現を成し遂げるという覚悟を持てという教えでした。自覚も覚悟も意識一つです。メンバー一人ひとりが地域を担う青年としての自覚と、地域をよりよくしていく覚悟を持ってもらいたいと思います。自覚と覚悟を持てば我々はもっと成長し、もっともっと充実した活動ができます。皆で気持ちを一つに、私たちだからこそできるまちづくりを創造していきましょう。

【想像力・創造力を育む青少年育成】

 未来の高山を担っていく青少年は地域の宝であり、青少年の健全な育成は子育て世代である私たちの責務です。青少年には、人とのつながりの大切さや挑戦する心、どんな困難にも立ち向かい乗り越える力、達成感、生き抜く力を身に着け、この地域の未来に夢や希望を持ってもらう必要があります。そのためには様々な体験を通して夢を思い描く「想像力」、そしてそれを形にしていく「創造力」を養ってもらうことが重要です。
 しかし、現代ではSNSや情報伝達機器の発達に伴い、多くの情報に触れやすくなる一方、実体験を伴わない疑似体験の急激な増加により、子どもたちが夢や希望を持てない、無感動・無関心、自主的な課題解決意識が不足しているなど、成長に影響を及ぼしているといわれています。青少年は、実際に体験して初めて、自発的に行動することの大切さに気づき、心豊かに成長することができると考えます。子どもたちが明るい未来を思い描き、未来を創り上げていける青少年へと成長する、その第一歩になるべく活動を展開してまいります。

【地域を担うJAYCEEとしての成長】

 地域を担っていく我々青年世代には変革の起点になるリーダーとなるべく、常に成長が求められています。そして、JCに所属する私たちにはJC運動を通して多くの成長の機会が与えられています。JCは失敗してもいい団体だと言われていますが、それは失敗を恐れずにやり切ってこその言葉だと思います。まずはメンバー一人ひとりにJAYCEEとして自覚を持ってもらい、多くの成長の機会をつかんでもらえるよう、人財育成に取り組みます。
 特に入会1年目となる新入会員は組織に新しい風を吹き込み、活性化へとつなげてくれる存在です。新入会員が1年目で学ぶJAYCEEとしての基礎はJC運動だけでなく、地域を担う青年経済人として必要なスキルです。積極的に多くのことを学び、また先輩会員との友情を築いていただきながら、有意義な1年目を過ごしていただくことで、2年目以降、即戦力としてJC運動に邁進できる環境を作ります。

【信頼感のある組織運営の見直し】

 高山青年会議所は令和3年12月末より一般社団法人へ移行し、2年間の活動を終えました。この2年で多くの変革を行い、より自由度の増した活動につなげることができている反面、まだまだ時代の変化に対応できていない部分もあります。どんなに優れた活動も土台がもろくては成し遂げられません。まずは今一度、変革が必要な部分、変えてはいけない部分を見極め、皆が学びやすく、活動しやすい信頼される組織運営を行ってまいります。

【共感を呼ぶ運動の発信と会員拡大】

 ここ数年、「会員拡大」は我々の団体が抱える最重要課題の一つです。私が入会した10年前は現在の倍ほどの会員が所属しておりました。もちろん会員数が全てではありませんが、より効果的で、より大きな運動を展開していくためには、より多くの同じ思いを持ったJAYCEEの存在が必要不可欠です。
 「会員拡大」にはいったい何が必要なのでしょうか。それは、我々の運動に対する「共感」です。共感を持っていただくことで多くの方を運動に巻き込み、ひいては会員拡大につながるのです。共感を呼ぶ運動の発信には、そこに込められた「ストーリー」が重要になります。ただ事業を行うだけでは多くの共感は得られません。事業という事実だけでなく、事業に込めた想い、事業までの道筋といった「ストーリー」が共感を育みます。共感を育む情報発信を通して会員拡大へつなげてまいります。

【節目に向けて】

 高山青年会議所は、2025年に70周年を迎えることになります。この節目を盛大に祝うとともに、先輩方がこれまでつないできた運動の灯を、責任を持って次代へと引き継げる周年となるよう、本年度から準備を進めてまいります。

【結びに】

 私の好きな言葉に、哲学者・思想家のパスカルによる「人間は考える葦である」という言葉があります。正確には「人間は自然のなかでもっとも弱い一茎(ひとくき)の葦にすぎない。だが、それは考える葦である」という言葉です。人は問題に直面した時、迷い、悩み、考え込んでしまいます。しかし、人は悩み考えることができるからこそ、知恵を出し合い、苦労を乗り越えることができるという意味だと捉えています。
 〝まちづくり〟という答えの無い課題に取り組むには、私一人の力ではどうすることもできません。だからこそ、メンバー一人ひとりに「我々には何が求められているのか」「何をすべきなのか」を考え続けてほしいと思います。考え続け意見を出し合うことで「明るい豊かな高山」の実現という未来に進めるのだと確信しています。そして、それこそが〝会議所〟である我々の在るべき姿だと考えております。
 我々、高山青年会議所は68年間にわたり、高山を想い、青年の力でよりよくしようと考え続けてきた団体であることを誇りに思い、より高山に必要とされる団体となれるよう1年間邁進していきましょう。