2025.04.02 Wednesday

一般社団法人高山青年会議所

理事長

第70代 理事長

山本 善大

14.山本善大.jpg
一般社団法人高山青年会議所

2025年度 スローガン

logo_03_HP用.jpg

理事長所信

【はじめに】

私たちが住み暮らすこの飛騨高山。このまちをより良く、そしてより持続可能な社会にするために、私たちは運動を興しています。しかし、それはなぜなのでしょうか。私たちはただの偽善者なのでしょうか。私はそうは思いません。このまちと私たちは運命共同体なのです。私たちの会社、そしてそこで働く人たち、家族みながこのまちに住んでいます。このまちが良くならなければ、私たちも衰退し、このまちが良くなれば、私たちも飛躍していくのです。この考えは、宣言文にも「輝く個性が調和する未来を描き、社会の課題を解決することで、持続可能な地域を創る」と記されています。今年度は高山青年会議所が創立され70周年という節目にあたります。私は、今までの歴史と文化を大切にし、さらなる発展の一歩を踏み出す年度として、青年会議所運動を興していきます。

私はとても人見知りです。人と積極的に交流し、自分の想いを伝えるより、人の想いを受け取り、それに協力する方が性に合っています。それはなぜなのか、「人に嫌われることが怖い」からです。家業に入った後も特に波風を立てることなく過ごしていました。そのような時期に私は高山青年会議所に入会しました。最初は今まで通り、メンバーに馴染めるように無難に過ごしていました。しかし、自分の想いや意見をしっかり持ち、それを伝えていく仲間を見ていると、自分の存在意義を感じられなくなりました。「山本 善大」という存在を出さなければ、ただの一部となってしまいます。変わるということは、敵を作るかもしれない。そんな葛藤を抱きながら、活動を行っていました。青年会議所は議論に議論を重ねより良いものを生み出す場所です。もちろん仲間も私に意見を求めてきます。私は勇気を出し自分の想い、意見を伝えることに挑戦してみました。すると、今までのみんなの意見に違う視点が入り、物事がより良い方向に進んで行ったのです。もちろん意見がぶつかることもありました。しかし、そこで関係性が崩れる事はありませんでした。それどころか、関係性が深まり、青年会議所以外でも頼ってもらえるようになったのです。今まで変化を恐れてきましたが、仲間を信じてその先に進んでみると、そこには新しい世界が待っていました。そんな経験をすることが出来たのも、この青年会議所の仲間がいたからです。それから、私の人生においても自分を出すことができるようになりました。それは社業にもつながり、会社の人たちにも私の想いが伝わるように変化していきました。もし青年会議所に出会うことなく過ごしていたら、このような成長はできなかったでしょう。40歳までという限られた時間の中で、とことん成長へつなげることができるこの青年会議所にいることは、私の人生にとって大きな変革の起点でした。

さらに青年会議所で学んだことは、成長するにつれて視座が変わり、挑戦もステップアップしていくということです。入会当初は、知り合いを増やしたい、仕事をもらいたいといったことが目標でした。しかし、多くの運動や事業を構築し、取り組んでいき、多くの仲間と出会う中で、その想いは「世のため、人のために尽くしたい」というものに変わっていきました。どうしたら、より良いまちになるのか。どうしたら若い働き手がこのまちに残ってくれるのか。どうしたら多くの人にこのまちの魅力を知ってもらい、さらに人が集まるまちになるのか。常に考えるのはこのようなことに変わりました。ただ過ごしてきたこのまちが、心から大好きなまちへとかわったのです。

青年会議所で活動していると、人によって様々な経験をすることになりますが、そのすべては一つの道につながっています。それは、世のため人のために一生懸命行った運動が、結局は自分のためになっているということです。運動によって世間の空気が変わり、世の中が変化した結果、大切な人が幸せになる。そして、その幸せになった人が運動を興し、また大切な人を幸せにしていく。そんな連鎖を私は作りたい。今年度のすべての運動の根底にあるもの、それは「幸せの連鎖」です。

【青年会議所運動】

青年会議所運動を行う上で大切にしなければならないのは、誰の目線で考えているかということです。私たちだけの目線になっていないか、しっかりと市民との接着点を意識し、何が求められているのか、またどのようなことに共感が生まれ、ワクワク感につながるのかを考える必要があります。その視点を明確にし、小さな力を大きな力へと変化させ、世の中の空気を変えていくこと。これこそが、私たちが興すべき運動です。さらに、世の中を変える運動を生み育て、パートナーと共に広げていく団体であることを目指します。そのためには、高山青年会議所だけでなく、事業に関わる人や事業に触れた人が、事業を自分こととして捉えられる形を模索することが必要です。そして、高山青年会議所が興すすべての運動が、手を離れても自走する仕組みを追求していきます。

【共育ての推進】

青少年育成事業はこれまでに数多くの取り組みを行ってきました。しかし、それは一過性に過ぎないイベントや一部に対する補助的な事業が多く環境の整備とは少し離れていました。家族だけでなく周りの「ひと」そして「近所」「まち」「市」といったコミュニティで共に育てる、「共育て」という考えを高山に浸透させていくことが、今後のライフスタイル、ワークスタイルの中で、ストレスなく環境を作り上げていくことへとつながっていきます。高山市と高山青年会議所が手を取り合い、この「共育て」を行政から、そして民間から浸透させ、目に見える形として高山市が子育てしやすいまちにしていきます。さらに、いままで取り組んできたベビーファースト運動も推進し、子連れの方々が訪れやすいまちとしても進んで行けるよう運動を興していきます。

 

【若手会員の育成】

新入会員には、高山青年会議所の活動の目的や意義をしっかりと伝えていきます。せっかく入会してくれた会員が、何のために活動しているのかわからないまま、参加の意義を見出せずにいる事態は絶対に起こさないようにします。「人脈ができる」「仲間ができる」「仕事につながる」。これらは青年会議所活動をしていれば副産物として得られるものですが、我々の本質はあくまで明るい豊かな社会をつくること、大切な人を幸せにするための運動を興すことです。この本質を会員歴の浅いメンバーにも伝え、世のため人のために活動する意味を学んでもらいます。そして、高山の未来をつくるリーダーを一人でも多く育てます。

 

【周年事業】

高山青年会議所は今年度、創立70周年という節目の年を迎えます。創立以来、「修練」「奉仕」「友情」の信条のもと、明るい豊かな社会の実現に向けて活動を行ってきました。歴史ある高山青年会議所のこれまでを振り返り、その存在意義を再認識することで、未来に向けたさらなる一歩となる記念事業を実施します。この事業により、多くの市民のシビックプライドを高め、高山青年会議所が高山市において唯一無二の存在であることを示します。その一歩が未来への大きな飛躍となり、更なる運動の強化へとつながっていきます。

 

【国際的な関心の強化】

高山市の人口は8万人です。しかしながらコロナ禍を経ても、現在は年間45万人もの外国人観光客がこのまちを訪れています。市民が海外の人を見ない日はほとんどありません。そんな中で、高山青年会議所はここ数年、国際的な視点を持った事業を行ってきたでしょうか。これからの高山にとって、国際的な視点を持つことは非常に重要です。そのため、高山青年会議所としても「国際」に対する関心を高めることが求められます。今年度は、高山青年会議所会員の国際意識の向上と、国際的な関わりの強化を行います。他人ごととしてきた国際的な感覚を自分こととして捉える意識変革を行います。未来へ向けた国際化の第一歩として、会員の国際事業への意識を促進します。

 

【組織運営】

青年会議所は会議を通じてすべての事を進めていきます。そのため、会議運営の重要性は非常に高いものとなります。大きな運動、そして大きな影響力を発揮するためには、しっかりとした土台固めとしての組織運営が必要です。令和3年12月に高山青年会議所は公益社団法人から一般社団法人へ移行しました。自由度が増した反面、時代の変化に対応しきれていない部分もあります。効率だけを求めるのではなく、より良い活動体制を支えるために、無駄に長い会議をなくし、より精度の高い話し合いができる環境を整備していきます。事務局、財政局の標準となるものを作り上げ、今後の青年会議所活動がより良いものとなる組織の強化を行います。

 

【おわりに】

高山青年会議所は、明るい豊かな社会を目指し、69年間ひとときも休まずに運動を続けてきた組織です。その歴史の裏側には、高山青年会議所が生み出してきた運動により、世間の空気を変え、目に見える形で世の中を変え、大切な人を幸せにできると本気で信じた先達がいたはずです。明るい豊かな社会とは、自分の大切な人を幸せにするだけでなく、その人がまた大切な人を幸せにしていくという幸せの連鎖を高山青年会議所がつくることによって実現されるものです。

そして、高山青年会議所に所属する会員は、過去から受け継がれてきた想いを大切にしなければなりません。なぜなら、今ある高山青年会議所の当たり前は、69年の歴史の中で先達たちが死に物狂いで挑戦してきた成果だからです。だからこそ、私たちは前年度から継承された責任を次年度へ引き継いでいく使命があります。

今年度、高山青年会議所が興す運動とは、世間の空気を変え、目に見える形で世の中を変えることに他なりません。併せて、なぜ運動を興すのかという気持ちを大切にしてほしい。なぜなら、青年会議所という組織に所属していると当たり前の感覚になってしまいますが、毎年リーダーが変わるということは、たとえ同じ手法で運動を興したとしても、その目的は必ずしも同じになるとは限らないからです。高山青年会議所会員には、この感覚を大切にしてほしいのです。「なぜ」を追求し、市民の共感が生まれる接着点を探し出し、運動を展開してほしいと願っています。

今年度は70周年という節目の年です。そのため、周年事業などもあり恒例にとらわれる可能性があります。しかしながら皆さんには挑戦してほしい。是非とも今年度は「やりたいことを目標」にしてほしい。決して「やらなきゃいけないことを目標」にしないでください。自分の中で新しい一歩を踏める年度にしてください。周年の年というのは振り返るだけでなく、今までの歴史を糧にして確実な前進をする年度にします。

我々は常に挑戦者である